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「僕の力というより皆さんに勝たせてもらった」 開幕戦決勝記者会見
2021年4月4日
決勝1位
No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)
「僕の力というより皆さんに勝たせてもらった」
「ありがとうございます。今週は走り出しから非常に調子が良くて、僕たちが開幕に向けて作ってきたものがものすごく機能していて、走り出しから手応えを感じていました。昨日の予選も結果のとおり、ポテンシャルを出し切れて…というところでした。まぁ、スタートは少し僕のミスもあって…。ただクラッチに関してはちょっとだけ不安感を持って(レースに)臨んでいたので、その不安なところが問題点というか、いまいち感覚でフィットしないところがありました。ただ、最初は大湯(都史樹)選手がのすごく速かったんですけど、その後5〜6周してからは、こっちに分があることがわかったので、ミニマムで(ピットに)入ろうか、(ピットインのタイミングを)引っ張ろうかというところで悩んでいたんですが、ミニマムで入ろうと決めたときにすごく大きなチャンスがやってきてうまく大湯選手をかわすことができたので、そこでステイアウトという選択をとり最後まで引っ張りました。
(レース中に青旗が提示されたときの状況について)みんながみんな順位争いをしていたし、僕の前で数台がパックになって走っていました。あそこでの順位争いはもちろん重要ですよね!? みんなタイヤ交換(のタイミング)が前後していた中で、すごく重要な局面を迎えていたと思うんです。その中で、(進路を)譲るのも難しい状況だったのはわかります。ただ、ルールとして青旗(の意味)は明確に記載されていると思うし、F1でも最近は青旗(に対してのペナナルティ)を厳しく取っています。そういう意味合いを含め今年からタイムペナルティが追加されたので、(レース中の)ああいう状況がタイムペナルティにならないのは、どうなんだろうなと個人的に思いました。結構な距離(前車との差が詰まっていた)なので影響は受けていたし、3秒位を目安に青旗を振ると記載されていた覚えがあるんですが…。そこまでがんばって追いついて青旗を振られても、(対象者が)見えてないわけでなないと思うので、僕であれば(後方の速い車両に)一回譲る…それがスポーツマンシップとして正しいと思うので。その辺は個々の認識の違いなのかもしれませんが、正しいものを作っていきたいなという思いがあります。
(タイヤ交換のタイミングが遅かったが)一瀬(俊浩)エンジニアがひどくて…。みんなが(ピットに)入っているのを教えてくれなかったんです。このまま行ってたら(タイヤ交換後の)アウトラップが絶対辛いだろうなと思っていたんです。みんなも走っていると思っていたし、(ピットインのタイミングを)引っ張っていると。で、残り3〜4周になって『大湯選手が50秒後ろ』(と無線で)言われて、『もう(ピットに)入っているのか」と思って…(苦笑)。そんな感じでしたが、本当は早く(ピットに)入りたかったですね。その後のアウトラップは雨の影響が相当あって、(タイヤが)なかなか温まりにくかったです。ただそれまでに大きなギャップを築けていたので、それがほんと助けになったと思います。(大湯選手を抜いた場所、タイミングとしては)ストレートではなかなかいけない(抜けない)だろうと思っていたので、その前段階であまりプッシュしていなくても、100R、ヘアピン、ダンロップのブレーキでは(大湯選手に対して)結構、分があるように感じました。その前の周からちょっとずつそのあたりを自分の中で100%(の力)を出しに行って、抜いた周もタイヤを使いながら追いついていって、ここだ! というところでうまく(仕留めた)…。彼にもOTS(オーバーテイクシステム)を使わせなかったと思うし、うまく隙を突けたかなと思います。(大湯選手の)真後ろまで来てしまえば、インからでもアウトからでも抜けるという自信がクルマから感じることができていたので、それはもうクルマのおかげです。それくらいすばらしいクルマでした。
今回の優勝は、『いつ雨が降るんだ?』というコンディションの中で難しい局面も多々あったのですが、その中でも落ち着いて走っていられましたし、何よりチームとホンダにすばらしいパッケージを用意していただいたので、今日は僕の力というよりかは皆さんに勝たせてもらった…それだけかと。僕は最後まで集中を切らさず、やれることをやったと言うだけです。次はもっともっと僕自身も思い切って最後までプッシュし続けたいし、今日は少し置きにいってしまった(無難な手段をとった)ところもあったんですが、その辺を改善していきたいなと思いました。もう何シーズン目になったかわからないくらいこの場にいますが、個人的にも明確にタイトルを獲るといえるだけの自分自身の手応えも感じてきています。そういう意味でも目指すところに向けてこれ以上ない、非常にいいスタートが切れたと思います。
最後に付け加える形になりましたが、僕のクルマのカラーリングに大きなメッセージが込められていますが、この場でも再度伝えさせていただきます。このコロナ禍でまた今少し状況が不安定になりつつありますが、医療従事者、携わる方々のご尽力に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。また次もいいレースを見せられるようにがんばります」
決勝2位
No.65 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)
「チーム一丸となって次のレースに向けて準備していきたい」
「前回の富士(2020年第7戦)で2番手、今回の富士も2位ということで結果的には表彰台を取ることができました。一番の目標が表彰台だったので、確実に取れたのはすごく良かったなと思っています。ただ、昨日から野尻(智紀)選手がほんと速くてつねにすばらしいポテンシャルを出していましたし、ほんとに今週末を通して強かったなと。さすがだなと思います。この優勝は、チームと野尻選手のがんばりだと思うので、本当におめでとうございます、というところです。僕も、シリーズを戦う上ではこのままではいけないなと。もっとがんばらなきゃいけないので、チーム一丸となって次のレースに向けて準備していきたいと思います。
(ピットインのタイミングは)野尻選手に抜かれる前から、かなりレースペースが厳しくて…。マネージメントしているのに、厳しくてどうしようもない…と(無線で)ずっと言ってました。そこをいろいろ岡田(淳)エンジニア、中嶋(悟)監督含め、周りが良い判断をしてくれたので、それに従ってというか、僕自身としても(ピットに)入るタイミングを聞かされたときは、いい考えかなと思ってピットに入りました。雨で路面が濡れてきたときはチャンスかなと思ったのですが、そもそもペースが良くなくて雨が降ってもあまり感触が変わらなかったというか…。雨でちょっとセクター3が濡れていたくらいだったので、あまり”魅せる走り”はできなかったかなと思うんですが、最後は何が何でも、トップを取ろうと思って結構プッシュした結果、ファステストラップが取れたので、それは良かったと思います。
(野尻選手との違いについて)基本的にはタイヤを替えたアウトラップや序盤の速さは見せられたと思います。またタイヤマネージメントを含めて僕自身最善は尽くしましたが、やはり昨シーズンから続いているレースペースの悪さがちょっと出てしまったかなと思います。テストでもその辺をやってきましたが、今週末レースをやってみると、結果的に(タイムが)ドロップしてしまう形になりました。それでもチームがなんとかいろんな面でがんばってくれてこの2位を獲得できたと思うので、チームには感謝していますし、チーム一丸となって次こそは改善できるようにがんばっていきます」
決勝3位
No. 5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
「戦略をいろいろと考えてくれたチームのみなさん、エンジニアに感謝」
「僕にとってこのダンデライアンで走るのは3年目ですが、少し体制が変わりました。エンジニアが吉田(則光)さんから杉崎(公俊)さんになってクルマも5号車のほうに乗らせていただいて、昨シーズン(山本)尚貴選手がチャンピオンを獲った万全な体制で走っているということで、それが自分の中で結構プレッシャーがあって、昨日の予選も不甲斐ない結果になりました。自分の実力でなかなかいいクルマに仕上げられないというか、うまく杉崎さんにフィードバックを伝えらなかった結果だと思うので、非常に予選のあとは落ち込んでちょっとメンタル的にもきて(疲れて)いました。でもチャンピオンシップのことを考えて、少しでも前でゴールできるようにと意識しました。
今日のレースでは、ロングランに対してはテストでもたくさん行っていて自信もあったのですが、結構曇っていたし雨の予想の中でのコンディションだったのでうまくアジャストしきれず、レースではちょっとだけ苦労したところがありました。大湯(都史樹)選手に追いつくことができて、なんとかレース終盤に抜くことができたんですが、ちょっと雨が降ってきたタイミングでピットに入った形になり、そのアウトラップではなかなかタイヤが温まらずにまた大湯選手にやられて結果的に3位になってしまいました。でも昨シーズンは取りこぼすレースが多かったのですが、着実にしっかり前でゴールできるときにゴールし、レースを終えることができました。まずは戦略をいろいろと考えてくれたチームのみなさん、エンジニアに感謝して、次の鈴鹿こそはちゃんといいレースをしたいですし、僕自身もう少し成長できるようにこれから次のレースに向けてがんばって考えていきたいと思います」
優勝チーム監督:TEAM MUGEN
田中洋克監督
「これからもポール・トゥ・ウィンを連続で狙ってがんばりたい」
「(監督就任1年目、1戦目での勝利は)素直にうれしいのひと言です。まず最初に、野尻選手へ「おめでとう」と「ありがとう」を先に言いたいですね。あとは今年も2台体制を継続できましたが、そのスポンサー様、関係者様のご尽力があってこの体制が築けたのでそこにも感謝しています。あとはスタッフが毎回いい仕事をしてくれるので、その延長線上でこういった結果が得られたことをすごくうれしく思います。これからもポール・トゥ・ウィンを連続で狙ってがんばりたいと思います。本当にありがとうございました。
(残り12周の時点でウエット宣言となり、その後いつのタイミングでピットに入れるかが悩みどころだったと思うが?)今日は雨の天気予報が出ていたので、ドライ(タイヤ)に替えてからレイン(タイヤへの交換)は避けたいという思いがありました。なので、『雨が降る直前まで(ピットインのタイミングを)引っ張る』と。先頭を走れば絶対それをやろうとチームで決めていましたので、それがうまくいったなと思います。スタートでは2位に落ちましたが、野尻選手がうまく前に出てくれたので作戦が見事できました。クルマは週末を通して持ち込みからすごく調子が良くて。去年のルーキーテストの時点からクルマ作りをし、いろんなデータ取りをした結果、持ち込みがすごくうまくいきました。野尻選手の足らないところの微調整もさらにタイムアップにつながって、ほんとエンジニア含めメカニックもいい仕事をしてくれたと思います。
(スタート前、グリッドでスタッフが輪になって相談していたようだが?)当然、雨が降る、降らないという話もしていまし、2番手に落ちたらミニマム(最低周回数)で入ろうか…といろんな相談をしていました。あとは他愛もない雑談をしていました(笑)。最後までタイヤ交換を引っ張りましたが、コースアウトした他車もいたし、(セーフティカー導入の心配が)一瞬頭をよぎりました。『もう(ピットに)入ろうか』という話もしたのですが、たまたまそのタイミングで大津(弘樹)選手がピットに入ることになり…。もう(作戦を)変更できないタイミングだったので、そこはコース上に残るしかないという判断、というか残るしかなかったですね。結果的にはうまくいったので、良かったと思います。セーフティカーが出てしまうと最後まで引っ張った意味がなくなってしまうので、(導入されず)良かったです」