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野尻の逃げ切りか、混戦か。2021年シーズン後半戦突入
2021年8月25日
6月にスポーツランドSUGOで行われたシリーズ第4戦から2カ月余り。オリンピック開催の影響もあり、今年は長いサマーブレイクが取られることになったが、いよいよ今週末、栃木県ツインリンクもてぎで全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦が開催される。8月半ばからまるで梅雨のような天気が続いてきた日本列島だが、今週末は再び真夏の暑さが戻ってくる模様。もてぎでも曇りがちながら、30℃を超える中での1戦となりそうだ。
そんな今回のレースでは、レギュラードライバー陣のうち3名が欠場となる。先週末、フランスで行われたル・マン24時間レースに参戦し、帰国後の自己隔離期間が2週間取れないためだ。欠場するのは、同レースで初優勝を果たした小林可夢偉(KCMG)、タチアナ・カルデロン(ThreeBond DragoCORSE)、中嶋一貴(Kuo VANTELN TEAM TOM’S)。代役としては、今回も小高一斗(KCMG)、塚越広大(ThreeBond DragoCORSE)、ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELN TEAM TOM’S)の起用が発表されている。一方、前回、WECのテスト参加により欠場となった平川亮(carenex TEAM IMPUL)が今回は復帰。得意のもてぎでどのような走りを見せるのか、期待されている。
そのもてぎでまず注目されるのは、やはりノックアウト方式で争われる予選。前戦SUGOでは、Q1だけでなく、Q2も2グループに分けて行われたが、今回のもてぎでもそれは同様。Q1では各グループ10台もしくは9台から7台に、Q2では各グループ7台から4台に絞り込まれ、Q3で8台がPPを争うことになる。Q1のグループ分けは、ここまでのポイントランキングに基づいて行われ、2台体制のチームはそれぞれ別のグループとすることも決まっている。
Q1、Q2ともにグループ分けした上でのアタックとなるため、一度にコース上に出るマシンの数は減り、トラフィックに引っかかる可能性は小さくなる。だが、各車がほぼ思い切りタイムアタックする形となる分、ほんのわずかなタイム差で、次のセッションに進めるかどうかが決することにもなるだろう。そういう意味では、小さなミスが命取りになりかねない。ドライバーにとっては、ある意味緊張感がより高まるはずだ。もてぎのコースはストップ&ゴーレイアウトで、基本的にはオーバーテイクが容易でないと言われているだけに、この予選でQ3まで勝ち上がり、上位グリッドを確保することがまずは重要なポイント。2カ月ぶりという久々のドライブの中で、一体誰がQ3まで生き残り、PPを獲得するのか。今年は阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)や宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)、大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)ら、ルーキードライバーたちが予選で活きのいい走りを見せてきているが、そうしたルーキーたちの中から新たなポールシッターが生まれるのか。あるいは昨年もてぎで優勝している平川や現在ランキングトップに立っている野尻智紀(TEAM MUGEN)、前戦SUGOで嬉しい初優勝を果たした福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)らがPPを獲得するのか。まずはその点に注目だ。
日曜日の決勝レースは、35周(もしくは70分間)で争われる。この決勝でまず注目なのは、やはりスタート。もてぎの場合は、スターティンググリッドから1コーナーまでの距離こそ短いが、スタート直後の3コーナーあたりまでは順位が動く可能性あり。タイヤがまだ完全に温まっていない中、どのドライバーがどんなラインを通っていくのか、どんなポジションの入れ替わりがあるのか、よく見ていただきたい。その後、レース中には、誰がどのタイミングでオーバーテイクシステムを稼働させるかも見どころ。今回も各ドライバー、レース中に合計200秒間、オーバーテイクシステムを使うことができるからだ。もてぎは、基本的にオーバーテイクが容易でないサーキットというのは前述の通りだが、今年大きく違っているのはその部分。これにより、劇的にオーバーテイクの場面が増えるかも知れない。また、今回もドライコンディションであれば、レース中のタイヤ交換が義務付けられる。誰がどのタイミングでピットに入るのか。もちろんレース展開次第で、各チームの戦略は刻々と変わっていくが、それも注目ポイント。夏場のレースということで、タイヤの温まりがいい分、アウトラップで誰がどんな速さを見せるのか。それによるポジションの入れ替わりはあるのかというのも、気になるところだ。
また、後半戦に入るということで、シリーズの争いもここからますます激しさを増していく。ポイントでトップを走る野尻に対して、2番手につけている大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)、3番手につけている福住、そして4番手につけている平川、5番手につけている関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)らが追いついていくのか。あるいは野尻がさらにリードを広げるのか。それも含めて今回も白熱の1戦となるだろう。
Rank.2 36pt.大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)
Rank.3 34pt.福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
Rank.4 23pt.平川 亮(carenex TEAM IMPUL)
Rank.5 22.5pt.関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)