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No.16 山本尚貴(TEAM MUGEN)がPPを獲得。全日本スーパーフォーミュラ選手権開幕戦 予選
2018年4月21日
前日の専有走行と同様、初夏のような陽気に恵まれた4月21日(土)の三重県鈴鹿サーキット。午前中に行われたフリー走行に続いて、遅い午後になるといよいよノックアウト予選が始まった。
1コーナー方向から緩やかな風が吹く中、気温は23℃、路面温度は31℃と、昼頃に比べると若干涼しさも感じられるようになった午後3時45分。まずは19台から14台に絞られる20分間のQ1が始まる。セッション開始前には、早くもNo.1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)を先頭に、No.2 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)、No.16 山本尚貴(TEAM MUGEN)、No.15 福住仁嶺(TEAM MUGEN)、No.37 ジェームス・ロシター(VANTELIN TEAM TOM’S)、No.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)、No.7 ピエトロ・フィッティパルディ(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、No.8 大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、No.19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、No.20 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、No.18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)、No.5 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、No.50 千代勝正(B-Max Racing team)らがピットロードにズラリと行列を作り、コースインの時を待った。そして、セッションが開始されると、間もなく全車がコースイン。この時、すでにミディアムのニュータイヤやスクラブタイヤを装着していたのは、No.3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)、No.4 山下健太(KONDO RACING)、野尻、No.6 松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、フィッティパルディ、福住、山本、可夢偉、関口、平川、ロシター、千代、No.64 ナレイン・カーティケヤン(TCS NAKAJIMA RACING)、No.65 伊沢拓也(TCS NAKAJIMA RACING)。その中で、まず山本が1分38秒347と、午前中に行われたフリー走行と遜色ないタイムをマークし、この時点でのトップに立つ。その他のドライバーたちは、ニュータイヤやスクラブタイヤでも39秒台フラットから前半に留まり、山本のタイムをなかなか上回れなかった。ところが、その直後に大きくタイムを伸ばしてきたのが松下。松下は1分37秒619と、一気に他を大きく引き離してトップに立つ。そして、この最初のアタックを終えると、各車一旦ピットイン。全ドライバーがミディアムのニュータイヤを装着して、Q1最後のアタックの時を待つ。そして、残り時間が7分となったあたりで、平川を先頭に、山本、キャシディ、石浦、国本、千代、福住、フィッティパルディ、関口といった順でコースイン。2周タイヤを温めて、残り時間2分40秒というあたりから各車アタックに向かった。ここで、前半に松下がマークしたタイムを上回ってきたのが、山本。山本は、1分37秒518をマークした。それに続いてアタックしていた平川やキャシディ、石浦、国本、関口は、1分38秒台に留まった。これに続いてアタックに入っていた松下は、前半の自己ベストタイムを約コンマ4秒更新。山本のタイムを上回り、1分37秒255を叩き出す。さらに、福住、カーティケヤン、塚越、野尻ら、ホンダエンジンユーザーが次々に37秒台のタイムを叩き出し、計時モニターの上位を埋めた。結果、Q1では松下がトップ。これに、山本、福住、塚越、野尻、カーティケヤンと続いた。トヨタエンジンユーザーでは、山下の7番手が最上位。これに、平川、一貴、国本、可夢偉というオーダー。以下、伊沢、石浦までがQ2進出を決めている。一方、ここで敗退となったのは、大嶋、千代、ロシター、フィッティパルディだ。
10分間のインターバルを経て、14台から8台に絞られる7分間のQ2が始まったのは、午後4時15分。この時点では、気温は23℃、路面温度は32℃と、路面が少し冷え始める。Q2では、開始前からピットロードに並んだドライバーはいなかったが、早目に動きが。開始から約1分というところで、松下が真っ先にコースイン。そこから30秒ほどが経ったところで関口、国本、山下、伊沢、平川、さらに少し間を置いて、石浦、可夢偉、カーティケヤン、野尻、一貴といった順でコースに入っている。このQ2では、当然のことながら全車ソフトのニュータイヤでコースイン。ほとんどのドライバーはウォームアップを終えると、すぐにタイムアタックに入った。これに対して、松下、関口、山下は、計測2周目のアタックを選択。これが明暗を分ける結果となった。
まず最初にアタックを行った国本は、1分37秒933。続いて伊沢が1分37秒729、平川が1分37秒812をマーク。さらに、石浦が1分37秒745、可夢偉が1分37秒940、カーティケヤンは今ひとつタイムを伸ばせず1分38秒299。そして野尻が1分36秒960と、この時点でのトップタイムをマークする。だが、野尻がコントロールラインを通った直後、平川がデグナーコーナーひとつ目先でコースアウト。テールが突然流れてスピン状態に入り、コース外に出ると、アウト側のグラベルで横っ飛び状態になって、ストップしてしまった。その直後、山本が1分37秒727、福住が1分37秒247をマークしたが、セッションは13秒残したところで赤旗中断。この時点で、松下、関口、山下、そして塚越はまだアタックを終えていなかった。平川のマシンの回収が終わると、セッションは午後4時27分、残り時間3分ということで再開される。ここで、Q3進出を狙った可夢偉、山下、関口、塚越、カーティケヤン、一貴、松下、国本らは再びコースへ。松下は赤旗前に装着していたユーズドのソフトタイヤだったが、他の多くのドライバーは2セット目となるソフトのニュータイヤを投入した。一方、赤旗提示前に2番手だった山本、3番手だった福住、4番手だった伊沢らはピットで待機。すでにQ3に向けて頭のスイッチを切り替えていた。
この2セット目のアタックでタイムを伸ばしてきたのは、塚越、一貴、石浦。逆にQ1トップだった松下は、ユーズドではタイムを伸ばせなかった。その結果、Q2をトップ通過したのは、野尻。これに山本、福住、塚越、一貴、伊沢、石浦、平川と続いた。逆にQ2で敗退となってしまったのは、国本、可夢偉、カーティケヤン、松下、山下となっている。
そこから10分間のインターバルを経て、いよいよPPをかけた7分間のQ3が始まったのは、午後4時40分。Q2でコースアウトしてしまった平川のマシンは準備が間に合わず出走することができず、残る7台で争われることになった。
ここでセッション開始から2分半というところで最初にコースに入ったのは、伊沢。そこから40秒ほど経ったところで、野尻、山本、福住。さらに40秒ほど経ったところで塚越、そして、残り時間が2分半となったところで石浦と一貴がコースに入る。この中で、ニュータイヤを残していたのは、伊沢、野尻、山本、福住の4人。塚越、石浦、一貴はユーズドでのアタックを余儀なくされた。
最初にアタックした伊沢は、クルマのバランスが余り決まっておらず、タイムは1分37秒935。これに続いてアタックした野尻は1分37秒040と伊沢のタイムを大きく上回ってきた。さらに、アウトラップのデグナーコーナーで山本が進路を譲ったため、その前に出て先にアタックした福住が1分36秒991と、一瞬トップに立つ。それをわずかに100分の8秒上回ってきたのが、山本。山本は、セクター1などで福住のタイムを上回り、最後は1分36秒911で1周をまとめた。この後に走行していた塚越、石浦、一貴は、ユーズドタイヤということもあり、やはりタイムは伸ばせず。その結果、山本が2016年の開幕戦以来2年ぶり、通算9回目のPPを獲得。ルーキーの福住がこれに続き、TEAM MUGENがフロントロウを独占した。3番手は野尻。以下、伊沢、塚越、石浦、一貴と続き、走行は叶わなかったものの、平川が復帰初戦の予選を8番手で終えた。
明日の決勝日も、鈴鹿は初夏の陽気になることが予想されている。フォーメーションラップがスタートするのは午後1時50分と、日中の最も暑い時間だ。しかも、今回はレース距離が300㎞ということで、ドライバーにとってもマシンにとっても、そしてタイヤにとっても過酷な条件。その中で、どのチームがどのようなストラテジーを組み、勝利を掴むのか。この高温下、まだ両スペックのタイヤで満タンのロングランを行ったドライバーはほとんどいないため、予想外の展開になる可能性は大きい。意外な勝者が生まれるかも知れないだけに、スタートからチェッカーまですべてに注目していただきたい。