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「スタートで、ミディアムタイヤを選んだ予選上位ドライバーがいて意外だった」 ヨコハマタイヤレースの総評
2019年10月2日
第6戦岡山大会では、決勝でのタイヤ交換義務において、10周目以降から最終周までに完了する特別規則が採用された。ミディアム、ソフトの2種類のタイヤをどのように、またどのタイミングで使用するのか、各チームはスタートポジションを考慮しつつ様々な戦略を想定したと考えられるが、サプライヤーの目にはどのように映ったのか。
「スタートで、ミディアムタイヤを選んだ上位ドライバーがいて意外だった」
「今回はレースでタイヤトラブルが原因でアクシデントが発生したように捉えられる事例がいくつかあったのですが、その点について明確にしておきます。まず、オープニングラップ(1コーナー)で国本雄資選手と福住仁嶺選手が接触。そのまま走行を続けていた福住選手は(8周目のアトウッドカーブで)ブレーキロックさせてコースアウトしましたが、タイヤのリムが破損していました。最初の接触が影響してコースアウトしたものと思われます。また、セーフティカーラン中の10周終了時点でピットインした牧野任祐選手は、関口雄飛選手とピットロードで接触しました。牧野選手がピット作業を終えてコースに戻る際、ピットに入ろうとしていた関口選手の右フロントウィングの翼端板と牧野選手の左フロントタイヤが接触し、サイドウォールをカットしたんです。これでダメージを受けてしまい、コース復帰直後の1コーナーでコースアウトすることになりました。さらに、レース中盤(33周目の1コーナー)、石浦宏明選手がスロー走行して右フロントタイヤ付近から白煙が上がりましたが、これはパンクではなく、ホイールリムの破損によるものです。1周目、国本雄資選手と(ヘアピン先のリボルバーコーナーで)接触しており、そのダメージがこのタイミングで出たようです。いずれも先にタイヤがパンクしたものではないことは、お伝えしておきたいことです。
レースでは、結果として特別ルールの採用によってミディアムタイヤを1周しか使っていないドライバーが出てきました。岡山はコース全長が短いため、ピットインでのロスタイムも短くて済むので、この戦略が採れたとも考えられます。
一方、今回はノックアウト予選Q1でA、Bの2つにクラス分けし、またそのために走行時間が通常の半分となる10分間になったので、通常であれば2セット投入できるミディアムタイヤが時間的にも1セットのみの走行になったので、なかなか難しい状況だったのではないでしょうか。もう少し早くタイヤが温まるかと思ったのですが、そうはならなかったようです。また、ミディアムとソフトとのタイム差が2秒どころか3秒ほどありました。ドライバーからは、岡山のコースはあまり荷重移動を前後に起こさずなめらかに走るので、単純にグリップがあるタイヤのほうがいいという声を聞きました。もてぎのような荷重のかかるコースであればミディアムもうまく作動させられるが、なめらかに走るタイプの岡山ではタイム差がつくのではないか、という見解ですね。
最後のQ3ですが、ものすごく僅差の結果は上出来だと思います。いいアタックを見せてくれたドライバーには感謝です。逆に今年はアタックでのOTS(オーバーテイクシステム)使用がなくなった(昨シーズンはOTS使用可能)ので、コースレコード更新は叶いませんでしたが。
決勝のスタートタイヤに関しては、上位陣にミディアムタイヤを選んだドライバーがいたのが意外でした。スタートから10周はミディアムで走る必要性があるのに……、と思いましたね。燃費が良ければソフトでスタートし、ぎりぎりまで引っ張ることもできたでしょうから。まぁ、レースとしては、SC(セーフティカー)ランの恩恵が大きく結果に影響したようですね。しかしながら、今回の結果を受け、チャンピオン争いは今年も僅差で最終戦を迎えることになり、楽しみが増えました。これまでの勝者も全員違いますしね。最終戦では季節的なものを考えるとコースレコード更新を狙うのは厳しいですが、タイトル争いで盛り上がってもらいたいと思います」