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2019年第7戦 レースのシナリオ

2019年10月23日

■レース距離:249.701km(鈴鹿サーキット5.807 km×43周)
(最大レース時間:1時間30分 中断時間を含む最大総レース時間:2時間10分)

■予選方式: ノックアウト予選方式
ノックアウト予選方式 (Q1:20分間 20→12台 Q2:7分間 12→8台 Q3:7分間)
公式予選Q1は、2グループ(A組・B組)に分けて実施する。
・グループ分け方法は前大会終了時点でのドライバーズランキング上位よりA組・B組に振り分ける。
・ただし、参加車両が複数台のエントラントについては、少なくとも1台を別の組分けとする。
→上記2項による組分けについては、公式通知ご参照
・Q1は、A組10分間、10分間のインターバルを挟み、B組10分間の走行。
・各組上位6台・計12台がQ2へ進出する。Q2進出を逸した車両は、Q1最速タイムを記録した組の7位が予選13位、もう一方の組の7位が予選14位、以降交互に予選順位が決定される。

■タイヤ:横浜ゴム製ワンメイク
ドライ2スペック(ミディアム,ソフト), ウェット1スペック

■タイヤ使用制限
ドライ(スリック) 競技会期間中を通して6セット
そのうち新品はミディアム2セット+ソフト2セット
前戦までに使用した中からの”持ち越し”タイヤは3セット(ミディアム,ソフトは問わず)
ウェット 競技会期間中(土日)を通して4セット

■予選における使用タイヤ
Q1 においてはミディアムタイヤを使用しなければならない。

■決勝中のタイヤ交換義務:あり
・決勝レース中に2種別(ミディアムとソフト)のドライタイヤを使用しなければならない。
・スタート時に装着していた1セット(4本)から、異なる種別の1セットに交換することが義務付けられる。車両に同時に装着する4本は全て同一種別でなくてはならない。
・先頭車両が7周回目を完了(計時ラインを通過)した時点から、先頭車両が最終周回に入る前までに実施すること。タイヤ交換義務を完了せずにレース終了まで走行した車両は、失格。
・レースが赤旗で中断している中に行ったタイヤ交換は、タイヤ交換義務を消化したものとは認められない。ただし、赤旗提示の前にピットインしていてタイヤ交換作業を行った場合は、交換義務の対象として認められる。
・レースが本来の43周完了前に赤旗中断、そのまま終了となった場合、タイヤ交換義務を実施していなかったドライバーには競技結果に40秒加算。
・決勝レース中にウェットタイヤを使用した場合は、これらのタイヤ交換義務規定は適用されない。

鈴鹿サーキットにおけるSF19とタイヤ・パフォーマンス
・SF19開発にあたって横浜ゴム側から提案されたフロントタイヤの容量アップ(20mmの拡幅によって実現)は、車両後端側・エンジンとトランスミッションの間でホイールベースを50mm短縮したことと合わせて、SF19は比較的タイトで「回り込み」の動きを求められるセクションで、SF14よりもタイム短縮が可能な傾向をみせている。いっぽうダウンフォースを増やしたことで空気抵抗も増加傾向であり、直線終端に向けて到達速度は若干低くなっている。鈴鹿では、コース前半のS字~逆バンク、そして終盤のシケインでこの特徴が現れる。
・ドライ路面でレースが行われた最近3戦の状況を、決勝レースでのラップタイムの推移を元に追ってみると、トップグループで速いペースを維持した時、ソフトタイヤがそれなりのグリップ・パフォーマンスを維持するのは走行距離にして160~180km程度という実績が読み取れる。鈴鹿に当てはめれば28~31周となる
・走行距離80~100kmぐらいでグリップダウンを示すラップタイムの明らかな低下が生じているケースもけっこう多い。鈴鹿での周回数に置き換えると、“美味しいところ”を使って速いラップタイムを維持できるのは15~18周程度、というケースも起こり得る。
・今回、「先頭車両が7周回を完了」してすぐにソフトタイヤに履き替えたとすれば、43周完走までに走る距離は210kmとなり、ソフトタイヤのパフォーマンスが維持しきれるかどうかはぎりぎりの設定と言える。
・ミディアムタイヤに関しては、レース距離を走り切る能力は分かっているので、レースペースをどこまで速くできるか、そのセットアップを煮詰められるかが、ピットストップのタイミングとその自由度を左右する。

■燃料最大流量(燃料リストリクター):95kg/h(127.3L/h)
*容積(L)と重量(kg)の換算値が毎回少しずつ違うのは、各サーキットで、各時期に販売されているガソリンのブレンドによる比重が微妙に異なるため(今回は0.741)。
■オーバーテイク・システム: 最大燃料流量10kg/h増量(95kg/h→105kg/h)。
ステアリングホイール上のボタンを押して作動開始、もう一度押して作動停止。
レース全体を通して100秒間作動可能。(ロールバー前面のLEDフラッシュ)
一度作動させたらその後100秒間は作動しない。(ロールバー前面のLED、遅い点滅)
LEDの色はスタート時はグリーン、作動可能時間が残り20秒を切るとレッド、100秒を使い切ると全消灯。
100秒間使用で燃料消費量増分は277.8g、374.9cc。

・鈴鹿サーキットのコースレイアウトを考えると、まずはスプーンカーブ立ち上がりから西ストレートで作動させ、直線加速から到達速度を高めるのが定番の使い方。しかし先行車両のドライバーもこれは予測しているので、接近戦の中で前後の車両がいずれもOTS作動表示LEDを点滅させている、というシーンが演じられることが多い。
・この西ストレートでの使用を控えても接近して追走できる状況なら、シケイン立ち上がりからOTS作動、1-2コーナーに向けて前走車をとらえる、という使い方もある。
・2コーナー立ち上がりからS字、ダンロップコーナーまではずっと登り勾配が続くので、ここで燃料増量=エンジン出力を上乗せして走れば、各コーナーでの立ち上がり加速でタイムを稼ぐことが可能。
・鈴鹿は1周が長いので、平均速度が高いとはいえ、レース中のラップタイム・ペースは100秒を少し越える。ということは、OTSを一度作動させると、その作動をオフにした地点か、そのちょっと先まで、次の周は作動不可状態になる。接近戦の中では、この作動タイミングのずれを狙って、作動オフの位置を選ぶ、というような駆け引きも可能だし、ここまでの実戦の中で、前後に連なる車両の一方が作動不可100秒の中、もう一方が作動、という状況での攻防、それが次の周回で入れ替わる、といった場面を目撃することがあった。

■決勝中の給油作業義務:なし
■燃料タンク容量:ぎりぎり満タンで95L(その全量を使い切るのは難しいが…)
上記満載時のガソリン重量 約70kg
今年、燃料流量上限規制(燃料リストリクター)の設定95kg/hでのレースとしては、開幕戦・鈴鹿はSC走行の周回が多く、また第4戦・富士はウェット路面での戦いだったので、SF19+NREの燃料消費を推定するには、どちらもあまり参考にならない。その中での燃料使用状況と昨年までの実績から、燃費を2.4km/L(3.31km/kg)と想定する。
今戦のタイヤ交換義務規定の中で最も早く7周完了でピットストップしてタイヤ交換義務完了とともに燃料満タンにしたとしても、そこからの209kmを2.4km/Lで走り切るために必要な燃料量は87Lとなり、燃料をセーブすべくタンク残量と“相談”しつつペースを設定してゴールをめざす必要はない。
このレースペース走行での燃費を2.4km/Lという仮定において、250kmのレースを走り切るのに必要な燃料総量は約104L。実戦ではこれに低速周回3周分(ピット→グリッド/フォーメーションラップ/ゴール→車両保管)+OTS作動による消費量増加分、合わせて約2.58Lが加わる。すなわち、燃料タンク満タンでスタートした場合、12L(9.0kg)の燃料をレース中に補給する必要がある。
上記想定で1周あたりの消費量 約2.42L 重量にして約1.80kg。

■ピットレーン速度制限: 60km/h

■レース中ピットレーン走行によるロスタイム:鈴鹿サーキットの場合、およそ25~27秒(近年のレース状況から概算した目安程度の値)。ピットストップによって”消費”される時間はこれに作業の静止時間が加わり、タイヤ交換(とくに4輪)を行った場合はコースインしてから作動温度域に達するまでのロスタイムが加算される。

■ピットストップ:
ピットストップ戦略を組み立てる基本的な要素について整理しておく。
・タイヤ4輪交換を燃料補給と同時に実施するのに要する時間は11~12秒程度。
・タイヤ4輪交換だけならば静止時間5~6秒程度。
・燃料補給におけるガソリン流量は毎秒2.6L(1.94kg)程度かと推定される。
・ここまでの想定値に基づく、満タンでスタートした場合の「ピット・ウィンドウ」(燃料補給のピットストップが1回で済む周回数)は規定の7周目以降、38周までの間のどこか、と見込まれる。(極端な燃料消費節約走行をしない/セーフティカー・ランなどがない、という前提で)
ただしレース終盤における赤旗中断~中止、セーフティカー導入などの可能性を考えると、ピットストップ/タイヤ交換を最終盤まで“引っ張る”のはリスクが高い。
・タイヤ交換のためのピットストップが必要、かつ燃料補給も必要ということならば、作業者3名で4輪交換するのにかかる12秒ほどの間、燃料補給ノズルを差し込んでガソリンを入れてもロスタイムは変わらない。この時間をフルに使った場合、燃料補給ノズル接続時間は11秒、28.5L(21.3kg)を補給できる。スタート時にその分だけ燃料搭載量を減らすと、満タンでスタートするのに比べて約17L、12.7kgほど軽い状態にできる。この場合、「ピット・ウィンドウが閉じる」(燃料タンクが空になる)のは平均燃費2.4km/Lで31~32周完了あたり、となる。ソフトタイヤでスタートした車両のピットストップは、おそらくこの手前になると思われる。

さてそうなると、今回のレースを戦うストラテジーの選択肢は…
SF19とタイヤサイズ、そしてソフトタイヤの使用変更などで戦略策定がばらついていた今シーズンだが、終盤にきてようやくいくつかのパターンに収斂してきた観がある。
基本は1ストップ作戦。
問題は、スタート時の装着タイヤにどちらを選ぶか? どのタイミングでピットストップを行うか?
1.ソフトタイヤでスタート→後半でピットストップ、ミディアムタイヤに履き替え
予選でスターティンググリッドの前方列を手にした場合、まずスタートの瞬間、そしてそこからの序盤何周かで、コース上のポジションを確保しようとすれば、少なくとも先頭集団につけて走ろうとするならば、スタート時にソフトタイヤを選ぶことになる。この戦略の鍵は、燃料搭載重量が大きい状態で一気にペースを上げると、タイヤの消耗も大きくなりがちなので、そこをどう切り抜けるか。クルマの特性として、タイヤへの負担を抑える方向のセッティングを施しつつ、レースラップをどこまで速く、安定したものにできるか、ということになる。
もう一点は、後半でミディアムに履き替えてからのラップタイム・ペースをできるだけ落とさないこと。
2.ミディアムタイヤでスタート→早めのピットストップ、ソフトタイヤに履き替え
スタートでミディアムタイヤを履く、ということは、スタートから序盤の周回ではソフトタイヤ装着車両には太刀打ちできず、かといって無理をすればタイヤの損耗を早めるので、自身がミディアムタイヤ+燃料搭載重量多めの状態に対して設定したペースを確実に守って、チャンスを待つ展開になる。ここで大きく遅れてしまうと、ピットストップ消化後にもダメージが残る。
当然、規定の7周回完了以降、ソフトタイヤで走れる(と想定で来た)残り周回に達したところで、前後の各車の動きを見ながらピットイン、タイヤ交換することになる。問題はそこでピットアウトしてコースに戻った時、ペースの遅い車両の後方、あるいは集団の中に戻ると、せっかくのソフトタイヤの使用初期のグリップの高さを引き出しきれない状況に陥ること。もちろん、ここで一気にペースを上げることもないのだが、しかし遅いペースに付き合わされて、ピットストップ・シークエンスが異なるライバルたちとの間にギャップが広がるのは避けたい。
その意味では、規定の7周回完了のタイミングでピットに飛び込み、「空間のある」ところに戻るのが、定番のパターンになるかもしれない。もちろん、ソフトタイヤを残り200km以上もたせることが、この戦略を成功させる条件になる。
確実に良い結果に結びつけようとすれば、現状ではこの戦略を選ぶドライバー/車両が増えそうだ。
3.2ストップ作戦は?
前戦・岡山では、SC導入の周回が続いている中で、まずソフト→ミディアムの履き替え、次の周回に再びピットインしてソフトに履き替えることで「タイヤ交換義務」を消化する作戦を採ったドライバー/車両があった。しかしこれはSCという偶発状況を利用する、という瞬時の判断によるバリエーション。しかしSC先導周回中であっても、2度目のピットストップを行うと、隊列の後方に回ることになってしまうので、そこからの順位アップはなかなか難しい。
1周目にミディアム→ソフトの履き替え、その後、タイヤ交換義務消化として認められる周回を消化した後の適当なタイミングでピットイン、そこで2セット目のソフトに履き替えるという戦術を、岡山戦で小林可夢偉が敢行したが、これは自身の決勝ペースに対してスターティンググリッドが後方だったことから採った作戦だと考えられる。
単純計算としては、フレッシュなソフトタイヤを履いて得られる1周ごとの速さ(タイム短縮)と、残り周回数を掛け算して、競争相手に対してタイヤ交換だけのピットストップ1回分(燃料補給を行わない前提で32~33秒以上)のアドバンテージを築けるか、ということになるのだが…。
4.ウェットになったら…
ウェットタイヤをレースで使った時にはタイヤ交換義務はなくなり、ずっとウェット路面が続いた場合はタイヤ交換、燃料補給ともに必要なくなるので、ここまでの検討は意味を持たなくなる。ウェットタイヤとドライタイヤを履き替えるような状況になった場合は、もちろん、その状況に最もうまく対応できたドライバー&チームがレースを制するわけで…。

◆鈴鹿サーキットという“舞台”
スーパーフォーミュラの予選最速レベルの平均速度が約217km/hと、日本国内のパーマネントサーキットでは現状、最も“速い”サーキットである。ちなみに、F1のコースレコードは平均速度240.1km/h(先日の2019年日本GP予選でS.ベッテルが記録)である。F1が転戦するコースでいえば、モンツァが最速、スパ-フランコルシャン、シルバーストーン、オステルライヒリンクといったあたりが周回平均速度では鈴鹿を上回っている。
鈴鹿の特徴は、この高い平均速度が、様々なコーナーが続くレイアウトの中で生み出されること。つまりドライバーたちは次々に現れる中高速コーナーを、リズムを刻んで駆け抜けてゆくことを求められるのである。今日の純レーシングカー、空力的ダウンフォースを使ってタイヤに大きな荷重をかけ、そこで生まれる強大な摩擦力によって車両と人間の重さ(正確には質量)の何倍にもなる遠心力を受け止めつつ旋回するクルマにおいて、中速コーナーと言っても実際には時速200kmかそれ以上で、遠心力(求心加速度)は4G(質量の4倍の力が加わる)を超える、という旋回になる。

【ご参考】
◆SF競技実施サ-キット別平均速度 (現行燃料流量制限+ヨコハマタイヤによる最速ラップ最速ラップ)

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