エンジニアたちの作戦計画
第1戦 鈴鹿サーキット
B-Max Racing with motopark
3アンドレアス・コーラー
ドライバー:ルーカス・アウアー
1.2019年シーズンに向けて
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新たにトラック・エンジニアとして活動される方、移籍された方、担当するドライバーに変更があった方、それぞれ自己紹介、担当車両・ドライバーの紹介をお願いします。
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私はドイツを拠点とするチームのテクニカル・ディレクターです。 近年はドイツF3、FIA-F3、ドイツF4そしてGP2のプロジェクトにレースエンジニアとして参画してきました。 Motoparkに入る前は6年間、DTMのアウディスポーツで働いていました。昨年の冬(のテスト)から、B-MAXとスーパーフォーミュラで協力関係を構築、そこから私は、レースエンジニアとして、オーストリア出身のレッドブル。ジュニアドライバー、ルーカス・アウアー選手の#50を走らせる責任者になりました。
*GP2:F1GPに併催されることも多く、F1への登竜門となっていた。現在は「FIA-F2」。 *DTM:Deutsche Tourenwagen Masters(ドイツ・ツーリングカー選手権)の略称。日本のスーパーGTと共通性が高い「class1」の車両(2019年からはエンジンも直4・2L直噴+ターボ過給)を使うが、短距離・ドライバー1名によるレース形態を採る。
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3月・2回のテストを通して、SF19との「対話」は進みましたか? どんなキャラクターのマシンだと受け取られていますか? セットアップの「鍵」はどのあたりにありそうですか?
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トップレベルのカテゴリーでの経験を積んできた私ですが、ダラーラの新しいSF19に強い印象を受けています。それは高度に複雑化された車両であり、エンジニアの観点からは、ドライバーに最良のセットアップとレース準備を提供するために、可能な限り全ての細部にまで目を配るという、大きなチャレンジが求められることになります。エンジン・パートナーであるホンダと密接に協力することは非常に興味深く、そしてとてもポジティブなものです。セットアップ作業としては、2種のタイヤコンパウンドの両方に最適なパッケージを見出すことに着目しています。
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担当されるドライバーは、競技運転者としてどんな個性、ドライビングのリズムの持ち主でしょうか? ずっとコンビを組んでいて、ファンの皆さんに良く知られているドライバーでも、この際、ぜひ一言(以上)お願いします。
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ルーカスは、これまでに彼が参加したカテゴリーで優勝を重ね、その速さも自ら証明しています。チームの中の雰囲気も素晴らしく、ルーカスとハリソンは、スーパーフォーミュラでのレースに高いモチベーションを持って臨んでいます。
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ドライバーはSF19についてどんな印象を語っていますか?
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これまでのところ、ドライバーからはクルマについてポジティブなフィードバックしか得ていません。彼らはダウンフォース、コーナリングスピード、エンジン性能、全てのレベルに感銘を受けていて、彼らはスーパーフォーミュラの「レーシング・スピリット」を心から楽しんでいます。
2.開幕戦・鈴鹿サーキットに向けて
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2回のテストの状況、成果を踏まえつつ、鈴鹿における緒戦に向けて、SF19のセットアップは空力、足回りなど、それぞれどのあたりがポイントになると考えていますか?
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誰もが知っているように、鈴鹿は世界の中で、最も多くの資質が求められるコースのひとつであり、ミスが許される余地はほとんどありません。とくにセクター1とセクター2は、メカニカルと空力をきわめてよいバランスに仕上げることが求められ、その一方で、トップスピードと、ヘアピンとシケインの立ち上がりでのトラクションとの間に最良の妥協点を見つける必要もあります。
*メカニカル(グリップ)と空力(特性)のバランス:車両運動の基本はタイヤの摩擦力。ダウンフォースを増やせばタイヤを路面に押し付ける荷重が増え、摩擦力を高められるが、それは速度の二乗に比例して変化=効くのは中高速コーナー。車両姿勢変化にも影響される。タイヤの接地状態、そこで発生する摩擦力を安定させ、車体との間でいかにうまく運動につなげるか、がメカニカル・グリップ(サスペンション・セッティング)。 *トラクション:駆動力、つまりエンジンの力をタイヤが受け止めて車両を前に押し出す力、その強さのこと。競技運転では、旋回の中から駆動輪(SF19では後輪)の粘着状態を保ち、蹴り出してゆく時が重要。
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「持ち込み」セットアップからまず予選、そして決勝に向けてセッティングを煮詰めてゆく中では、どんなことに着目して進めてゆきますか? 例えばコースを走る状態の着眼点、タイムや速度、タイヤ、ドライバーのコメントなど、現時点で想定している範囲でお答えいただければと思います。
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我々のドライバーは二人とも(SFでは)ルーキー、そしてもちろん日本のサーキットを何千周も走っている日本のスーパースターたちと競うのは容易なことではありません。他のドライバーたちが、コースだけでなく過去にSF14のレースを経験していることはよくわかっているので、我々は、イベントの前の時間をハードに働き、準備を整えることに集中しています。ヨコハマのタイヤを理解することは、2つの異なるコンパウンドを使う予選、そして250kmのレースにおいて、きわめて重要です。
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レース戦略、タイヤ選択と履き替え(ピットストップ)のタイミングなど、どんなパターンが想定されているでしょうか? 現状、何パターンほど考えていますか?
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私たちは(レースを前にした)この段階で、可能となる戦略とオプションの全てを検討・評価しています。ここ数年のデータの分析は、良い情報ベースをもたらし、最適な戦略がどれかを判断するのに役立つはずです。
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今シーズンは、オーバーテイクシステム(OTS)がレース中の総使用時間100秒、一度作動させた後は100秒の間隔が設定されている、と作動条件が大きく変わりましたが、どんな使い方が考えられるでしょうか?
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OTSをどう使うかは、レースの状況に大きく依存します。レース週末にドライバーたちと詳細に話し合い、ラップタイムとオーバーテイクに最適な選択肢を整理することにします。
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鈴鹿での開幕戦での目標(成績だけでなく、エンジニアとして“見つけたい”“仕上げたい”ことなどについても)はどのあたりに置いていますか?
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我々は予選が終わったところで自分たちの現況を把握できるでしょう。ここまで4日間のテストでは、他車の燃料量やタイヤの走行距離を知ることができないので、どのドライバーあるいはチームが優勢なのかを判断するのは困難です。
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今シーズン全体をどう戦ってゆこうと考えているか、最終的なターゲットをどこに置いているか、について教えてください。
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私たちは皆、スーパーフォーミュラのパドックにおいて競争力の高い存在として認められることを目標にしています。 もちろん私たちは、表彰台を、レースに勝利することを求めて戦います。パドックの他の皆さんと同じように。
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最後に、スーパーフォーミュラを観戦し、楽しまれているファンの皆様に一言お願いします。
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ただ一言 「間違いなく、ファンタスティック」。これについて疑いの余地はありません。日本のファンは世界一です。 時に私たちは、ピットボックスから出て、周りに注意を払う余裕がないことがありますが、観客の皆さんを目にするととてもやりがいを感じます。 私たちが、こんなにフレンドリーでエンスージァスティックな環境に包まれて働いている。それを特別なこととして誇りに感じさせてくれるから。