エンジニアたちの作戦計画
第1戦鈴鹿サーキット

VANTELIN TEAM TOM’S

3東條力

ドライバー：中嶋一貴

1.2019年シーズンに向けて

新たにトラック・エンジニアとして活動される方、移籍された方、担当するドライバーに変更があった方、それぞれ自己紹介、担当車両・ドライバーの紹介をお願いします。

#36 中嶋一貴を担当します。

3月・2回のテストを通して、SF19との「対話」は進みましたか? どんなキャラクターのマシンだと受け取られていますか? セットアップの「鍵」はどのあたりにありそうですか?

もろもろ新しくなって、良く曲がる車です。いつもと同じですが、エアロとサス・グリップのバランスを調和させたいと思っています。

*エアロとサス(ペンション)・グリップのバランス:車両運動の基本はタイヤの摩擦力。ダウンフォースを増やせばタイヤを路面に押し付ける荷重が増え、摩擦力を高められるが、それは速度の二乗に比例して変化=効くのは中高速コーナー。車両姿勢変化にも影響される。タイヤの接地状態、そこで発生する摩擦力を安定させ、車体との間でいかにうまく運動につなげるか、がメカニカル・グリップ(サスペンション・セッティング)。

担当されるドライバーは、競技運転者としてどんな個性、ドライビングのリズムの持ち主でしょうか?　ずっとコンビを組んでいて、ファンの皆さんに良く知られているドライバーでも、この際、ぜひ一言(以上)お願いします。

中嶋一貴選手とはＧＴでも長くコンビを組んでいますし、SFはもちろんですが世界耐久選手権の王者ですから実績充分です。チャンピオンを目標に頑張ります。

ドライバーはSF19についてどんな印象を語っていますか?

概ねポジティブです。

2.開幕戦・鈴鹿サーキットに向けて

2回のテストの状況、成果を踏まえつつ、鈴鹿における緒戦に向けて、SF19のセットアップは空力、足回りなど、それぞれどのあたりがポイントになると考えていますか?: どちらのタイヤも硬めに振舞っていますので、ミディアムでの安定したラップタイムと、ソフトタイヤでの巡航スピードを上げることがカギになりそうです。
「持ち込み」セットアップからまず予選、そして決勝に向けてセッティングを煮詰めてゆく中では、どんなことに着目して進めてゆきますか?　例えばコースを走る状態の着眼点、タイムや速度、タイヤ、ドライバーのコメントなど、現時点で想定している範囲でお答えいただければと思います。
レース戦略、タイヤ選択と履き替え(ピットストップ)のタイミングなど、どんなパターンが想定されているでしょうか?　現状、何パターンほど考えていますか?
今シーズンは、オーバーテイクシステム(OTS)がレース中の総使用時間100秒、一度作動させた後は100秒の間隔が設定されている、と作動条件が大きく変わりましたが、どんな使い方が考えられるでしょうか?: ドライバーは頭をフル回転させる必要がありそうですね。オーバーテイク・シーンが増えることを期待しています。
鈴鹿での開幕戦での目標(成績だけでなく、エンジニアとして“見つけたい”“仕上げたい”ことなどについても)はどのあたりに置いていますか?: 目標は、予選2列目以上で優勝、です。
今シーズン全体をどう戦ってゆこうと考えているか、最終的なターゲットをどこに置いているか、について教えてください。: もちろん全勝できれば良いのですが、SFはレベルが物凄く高いですから難しいでしょうね…　安定したリザルトが得られるように、扱いやすい車に仕上げたいです。
最後に、スーパーフォーミュラを観戦し、楽しまれているファンの皆様に一言お願いします。: 今シーズンはニック・キャシディーもTOM’Sチームに移籍してきました。強いTOM’Sを復活させますので、応援よろしくお願いします。